中国三大ネット企業テンセント2018年中国エンタメ業界白書でSNH48のポジションをチェック

中国三大ネット企業BAT(Baidu、Alibaba、Tencent)の一角、テンセント(騰訊)がビッグデータに基づく2018年中国エンタメ業界白書を2019/01/14に発行していたようで、中国エンタメ業界で上海SNH48グループがいったいどういうポジションなのか、よく分かるのでご紹介。

SNH48に関係しそうなのは「スター編」と「バラエティー番組編」あたりだろうか。

2018テンセント・エンタメ業界白書 スター編
2018テンセント・エンタメ業界白書 バラエティー番組編

まず概観としてタテ軸「熱度」とヨコ軸「口碑」のランキングで、「星雲図」という名前のチャートを見てみる。

↓スター編の「星雲図」(クリックで拡大)

「熱度」は中国ツイッターのホットワードに入るなどの話題性、「口碑」は評価の良し悪し。つまり右上ほど「良いことで話題になったタレント」、左上ほど「悪いことで話題になったタレント」。

知っておく必要があるのは「熱度」はお金で買えるということ。

中国ツイッターのホット検索ワードも、タレントの所属事務所や応援会がフォロワー数百万の「営銷号」、つまりインフルエンサー・アカウントにお金を払ってツイートしてもらうことで上位に押し上げられる。

スター編では右上にSNH48卒業生でSNH48運営会社所属のままソロ活動しているキクちゃん(鞠婧禕)がいる。

ここまで良いと思わなかったが、一般人にも知られているというより、SNH48運営と応援会の組織力が効いているのだろう。

TFBOYSの王源、王俊凱、易烊千璽は相変わらずの人気。そして何といっても2018年は中国正規版『Produce101』と、韓国『Produce101』第2シーズンを堂々とパクリったネット番組『偶像練習生』の影響力が大きかった。

中国版『Produce101』からは女性グループ「ロケットガールズ」、『偶像練習生』からは男性グループ「NINE PERCENT」がデビュー、そのメンバーたちが右上から中央の上の方にいる。

SNH48はキクちゃん以外では2018年SNH48グループ第五回総選挙TOPのカチューシャ(李藝彤)が中央のやや右あたり。

近くに賴美雲がいるが、彼女はもともと48系で最近チャイナ路線の女性アイドルグループ「SING」からロケットガールズに入団したので、位置づけが近いのは妥当。

そして第五回総選挙第2位のテテちゃん(黃婷婷)は右下のあたり、なぜかS.H.EのHebe(田馥甄)の近くにいる。中国大陸でS.H.Eの話題性は落ち着いてしまっているということか。

ロケットガールズの楊超越が中央のいちばん上にいるのは、賛否が真っ二つに分かれるが、とにかく注目されているということ。

いちばん左上には脱税で一時期「失踪」した范冰冰や、左端にラッパーのPGOneがいるのも悪評が大きすぎたので妥当なところ。

このように、SNH48運営がお金をかけてプッシュしているキクちゃん(鞠婧禕)、カチューシャ(李藝彤)、テテちゃん(黃婷婷)が「星雲図」に入っているのは営業努力の結果と評価できる。

「星雲図」の次に出てくる男性スター、女性スターの「熱度」ランキングを一言でいうと、やはり中国では女性ファンが男性タレントの追っかけをするのがマジョリティということ。

男性タレント第1位、NINE PERCENTの人気メンバー・蔡徐坤の熱度は、女性タレント第1位・迪麗熱巴の3倍もある。

このあたりのランキングで唯一SNH48からTOP10入りしているのはカチューシャ(李藝彤)だが、プラス、マイナス両面での入選。

マイナスの方は「熱度下降ランキング」の第2位という順位。

これは2017年末、SNH48公式アプリ「Pocket48」生放送でカチューシャが彼女をディスったSNH48ファンに「死ね」発言をしたり、誕生日ファンイベントでテイラー・スウィフト『Look What You Made Me Do』を歌ったのが「放送事故」だとネットで大きな話題になったが、その反動だ。

プラスの方は1995年以降生まれ女性タレント「熱度」ランキングの第8位。

こちらは關曉彤を除いて全員ロケットガールズのメンバーという中での大健闘。なおキクちゃん(鞠婧禕)は1994年生まれでこのランキングに入れない。

こうして見て来ると、現時点のSNH48グループ「TOP3」であるキクちゃん(鞠婧禕)、カチューシャ(李藝彤)、テテちゃん(黃婷婷)は中国芸能界でとても国民的と言えないポジションだということが分かる。

それはバラエティー番組編を見るとさらにハッキリする。

↓バラエティー番組編の「星雲図」(クリックで拡大)

こちらもロケットガールズ、TFBOYS、NINE PERCENTが強い。SNH48メンバーは1人も入っていない。

ところがこちらのバラエティー番組編に「SNH」の名前が登場している部分がある。「2018年度偶像養成類綜芸成績対比(アイドル育成系バラエティー番組成績対比)」というランキングだ。

この第6位に『SNHello星夢学院』がランクインしているのを見つけて驚いてしまった。SNH48運営会社が自主制作して2014/07/04に第一回が公開されたネットバラエティー番組だ。

↓こちらが第一回放送。

AKB48ファンの方にはすぐ分かるが『AKBINGO』のパクリ番組。当時SNH48はまだAKB48の公式姉妹グループだったのでパクリで全く問題ない。

この市場調査をしたテンセントのスタッフは『SNHello』が育成系アイドルSNH48がブレイクしたきっかけになったと考えているわけだ。

ちなみに実際には、全国放送の上海東方衛星テレビで放送された『国民美少女』でSNH48を知ったというSNH48ファンの方が圧倒的に多いはずだが。

『SNHello』の再生回数は6,600万回で、意外なことにNINE PERCENT出演で動画サイト「iQiYi」で放送された『NINEPERCENT 花路之旅』より再生回数が多く、口コミ評価も高いようだ。

ただ、やはり中国版『Produce101』や『偶像練習生』などには遠く及ばない。

2018年放送の韓国『Produce101』フォーマットを使ったこの2つのネットバラエティーが、中国芸能界で「育成系アイドル」というコンセプトをどれだけメジャーに押し上げたかということが分かる。

その結果、「二匹目のどじょう」をねらったアイドル育成系バラエティー番組が次々と制作され、すでに過当競争状態になっている。

今年2019年、テンセント動画は中国版『Produce101』第2シーズン、男性アイドルグループ編をネット放送するため、ロケットガールズ人気は落ち着き、男性アイドルグループ市場も飽和する可能性がある。

スターの追っかけは女性がやることで、男性が女性タレントを追っかけることが白眼視される一般の価値観はそう簡単に変わらない。

女性アイドルグループが例えばTFBOYS並みに人気を維持するのは今後も難しいだろう。

そういう市場環境でSNH48運営会社が今年どういう動きを取るか、野次馬的にもかなり楽しめそう。

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