上海SNH48 Team SII全曲オリジナル新公演『PLAN SALVATION』全曲解説(クレジットつき)

昨日2018/11/23(金)上海SNH48 Team SIIとして3つ目の全曲オリジナル公演『PLAN SALVATION 重生計画』が初日を迎えた。1年近くかけて準備したとのことで、楽曲だけでなく舞台演出や衣装も十分なクオリティだった。

事前に「超中二病公演」と前評判があり、たしかに16人曲はそうだったが、ユニット曲はガラッと雰囲気が変わり、上海SNH48グループはK-POPのEDM要素を大胆に取り入れることで楽曲の幅を大きく広げたと改めて実感した。

センターは前回公演同様、一期生momo(莫寒)。今年の第五回総選挙ではTeam SIIトップで第5位。

Vol.1 さよなら!第48区(2098)

M01. 晨光

晨光は明け方の光のこと。

前回Team SII全曲オリジナル公演『第48区』の最後の曲『無尽的世界 エンドレス・ワールド』の続編。『無尽的世界』は一期生momo(莫寒)がセリの上がった舞台に座って歌うソロで終わり、今回はそこから始まる。

物語は『第48区』公演が2048年の廃墟の世界の設定。今回の『PLAN SALVATION』はその50年後、2098年。

ストリングスのイントロの後、ソロから始まって一気にポップ・ロックは、まさに中二病全開のアニメのオープニング曲スタイル。転調なし。Dメロなし。

今回の舞台演出は舞台後方の回転扉が空いている時間が多く、舞台の奥行きを存分に利用しているのが特徴。回転扉を開いたいちばん奥の床にも照明を設置している。

上海の劇場は姉妹グループの劇場より横幅が狭すぎるのが致命的だが、よく考えてみるとなぜ今までの全曲オリジナル公演でこの回転扉を開けっ放しにして、奥行きを活かさなかったのか不思議になるくらいだ。

たぶん秋葉原の劇場の回転扉の後方は奥行きがなく、AKB48公演の舞台演出ではここを使えないことに縛られていたのだろう。

M02. Forever XLVIII

「XLVIII」はローマ数字の「48」。

この曲も中二病前回のアニメのオープニング系。sus4コードの多用がアニメっぽさを強調している。

間奏にもなっているイントロのコード進行が単純な循環コードになっていないこと、サビでCmからEmに三度転調することで、マイナー(短調)のアニメのオープニングが2曲続いても飽きない(笑)。Dメロはない。

この曲の舞台演出は普通。衣装替えでメンバーがはける。

M03. Who is the one

長めのイントロは衣装替えのため。この公演の予告編映像にも使われていた。このイントロのmomoのナレーションは筆者は聴き取れないが超中二病らしい(笑)。乾いた音色のエレキギターのカッティングがカッコ良すぎる。

やや重めのロックに曲調が変わり、最後のサビのリフレイン前には、上海SNH48がTeam HII全曲オリジナル公演『Beautiful World』で開拓したラウドの要素も出てくる。

筆者は最初これを聴いたとき拒否反応しか起こらなかったが、今になってみると単に日本の48系に引きずられていただけだったと反省。

衣装も曲に合わせて白とシルバーから黒と赤に変わる。

M04. 黒洞(ブラックホール)

最初の4曲はすべてアニメのオープニング仕様(笑)。この曲はサビでBbmからEbm(Gb)で三度転調。舞台演出的には後方に映し出されたブラックホールに、センターのmoom(莫寒)が吸い込まれて時空を超越します。

「Vol.1 さよなら!第48区(2098)」の第一部のタイトル通り、ブラックホールに呑み込まれて2048年へと戻っていく。50年前の廃墟とかした世界を救済(SALVATION)して50年後の現在(未来)を変えられるか?

ここまでの4曲、どれもテンポが速くダンスも激しくて、衣装替え以外、曲間が異常に短いので体力勝負のセットリスト。

ここからユニット曲。

Vol.2 開拓者たち

M05. Lost

momo(莫寒)ソロのバラード。ブラックホールで時空を超えたmomoが世界から失われた(lost)ということ。これはアニメのエンディングです。いや、本当に最初の4曲のどれかとこの曲を組み合わせれば、完璧なOPとEDになる。

ツーコーラス目から期待通りドラムスが入ってきてくれるので非常に気持ちいい。サビのいちばん高い音がG5まで上がるメロディーが素晴らしい。

さらにDメロでリズムパターンが変わるのも完全に期待通り(笑)。ここまで期待通りに編曲されると「キタコレ!!」としか言いようがない。

最後の舞台演出で時計の針を逆転させるところも時間を遡るストーリーとぴったりだが、全般的に意外にコテコテの物語感に嫌味がなかった。

この最後の部分、劇場の観客は分からないが、生中継で観たときのカメラがフォーカスをわざとボカしてフェードアウトする映像上の演出もハマっている。

M06. Hole Me Tight

ここからが日本の48系には絶対に出せない上海SNH48の世界が始まる。この曲はjazzyなEDM。

事前に公開されていたアンドロイドという設定のダイモン(戴萌)の衣装だけ見ると、ここまで中二病では絶対飽きると心配していたが、この曲の意外性で不安が完全に払拭された。

完璧なEDMバラードですわ。しかもダイモンとBちゃん(孔肖吟)の7SENSESのメンバーの2人が、セクシーすぎるダンスを完璧にシンクロさせていて、これが韓国で特訓した上海SNH48のK-POP要素の完成度。

ワンコーラス目、ダイモンが透明の「カプセル」から出て来ず、狭い空間で踊り続けるところもすごい。

間奏にバイオリンが入ってくる意外性のある編曲も素晴らしい。この公演全般がそうだが編曲に思わずうなってしまう曲が多い。

M07. 解語者

一期生マネー(錢蓓婷)がセンター。彼女は第五回総選挙で第9位と過去最高ランクの成績をあげた。

この曲は無国籍EDM。衣装だけ見ると北京BEJ48 Team E全曲オリジナル公演の『千夜一夜物語』や、上海SNH48 Team X全曲オリジナル公演の『Monster』のような中東スタイルかと思うが、歌詞の冒頭にジプシーと出てくるのでジプシースタイル(ってどんなスタイル?)。

最後の間奏部分でマネー(錢蓓婷)が水晶玉を股の間に通す振り付けがあるが、本当はまっすぐ後ろまで転がす予定だったのかもしれない。

この曲も舞台の奥行きを上手く活かした演出。回転扉の後方で吹き上げた布と赤い照明で炎を表現。

M08. 最終回合(ラスト・マッチ)

一期生で7SENSESメンバーのタコちゃん(張語格)センター。見てすぐわかるボクシングがテーマの楽曲。セリを上げた状態の舞台をリングに見立てるというのは筆者は思いつかなかった。それでも曲間に片付けるのが大変そう(汗)。

編曲はEDM主体。イントロはバイオリン音色だが、曲が始まると突然リズムが跳ねるところが気持ちいい。一期生チェンスー(陳思)が参加しているが、生中継の弾幕コメントに「チェンスーが本業復帰」と流れてきて爆笑した。

彼女の実家は武術の道場で、彼女自身、デビュー当時はヌンチャク技でバラエティー番組に出演し、SNH48の知名度を上げた。

この曲の良いところはサビの後にフックがあること。「嗒嗒嗒一嗒 Da Da Da Yi Da」、中国語の「嗒 ダー」は硬いものがぶつかる擬音語らしい。もちろんここではパンチの音。

そして最後の間奏でリズムパターンも変わって完全にEDMになり、そこからさらにメタル風の速弾きエレキギターソロになるところ。この間奏は素晴らしい。この公演全体の編曲の良さが現れている場所の一つ。

M09. 無罪無我

この曲も編曲がすごくいい。イントロのピアノとストリングスが荘厳な雰囲気を出して、ワンコーラス目のAメロがストリングスの伴奏主体で8分の6拍子になっている。

同じAメロはツーコーラス目では8分の6拍子でなくなっているので、Aメロ自体が編曲だけ変えてイントロの一部になっているという凝った編曲。BメロからはEDM編曲、サビでFmからFと同名調への転調(実質三度転調)。

EDMを編曲に取り入れつつも、メロディーの美しい曲ばかりなのはやっぱり上海SNH48がJ-POPを根っこにしている証拠と言える。

この曲のmiddle 8のメロディーも非常に美しい。転調もあるしmiddle 8もあるし、贅沢な曲。歌詞はどうやら中二病爆発らしい(笑)。

「後悔が役に立つなら/なぜ地獄は満席なの?/人の生死を決めるのは/神の他に私だけ/弾丸は紅蓮の業火で/魂を解脱させる/あなたは私の産み出した果実」

完全に中二病です(笑)。

広州GNZ48 Team NIII全曲オリジナル公演『第一人称』の『Pink Sniper』と同じ、3人のユニット曲で全員ピストルを持っているが、こちらはセクシー系ではなくクールな楽曲。

M10. Somewhere

ここでまたガラッと雰囲気が変わって、イントロは完全にJazzピアノの即興演奏。夜のバーの雰囲気。

大人の女性っぽさを表現するのにTeam SIIの三大巨塔(笑)でスタイル抜群の、170cm超えレンレン(吳哲晗)、スリー(孫芮)、ルオルオ(徐子軒)の3人、完璧な組み合わせ。

この曲でも回転扉が最初から開いていて、カウンター席が3席、舞台の奥行きが上手く利用されている。本当にどうして今までこれをやらなかったんだろう。

ワンコーラス目のサビで3人がカウンターの脚を横からくぐる振り付けなんて、カッコ良すぎて惚れ惚れする。

やはりメロディー主体の曲で1970年代の日本の歌謡曲っぽい雰囲気さえ漂う。サビの最後でメロディーが3分の4拍子の4小節になるところも、さり気ないけれど細かいところまで手抜きがない。

間奏の床に座り込んだり寝転がったりの振り付けは、上海SNH48グループのセクシー系楽曲では定番。(といいつつ元々は『今度こそエクスタシー』の振り付けから始まっているけれど)

ここから16人曲。事前のセットリストにあった「悪夢輪廻」がなくなっている。

Vol.3 預言(2048)

2048年にタイムトリップした16人が2098年の未来を預言する第三部。

M11. Restart

チェンバロ音色でバロック風のイントロ。細かい刺しゅうの入った衣装が曲の雰囲気にぴったり。

M04.の最後、momo(莫寒)がブラックホールに呑み込まれ、中央のポジションが一期生シャオアイ(陳觀慧)に入れ替わった続きで、この曲はシャオアイが中央で始まる。

Aメロで舞台後方からmomoが現れてセンターに戻り、2048年からのリスタート。

この曲のAメロは編曲も含めて個人的にちょっとどうかなと思う。メロディーが1拍目のオンビートで始まるし、ダサい。Aメロ前半はスネアも4分の1を叩くので、ウルトラマンのOPっぽくて笑えてしまう。

サビでCmからAbmに三度転調し、リズムの刻みが細かくなり、サビの繰り返しの後にさらにDメロでブリッジがあるのも贅沢なところ。

サビまで来るとアニメのOPパターンにハマる。こういう曲調が好きな人はこの公演の16人曲は全部好きだと思う。

最後のリフレイン前の間奏でギターソロがサビのメロディーを繰り返すのもコテコテの編曲だが、ここまでコテコテにやられると逆に「あり」だと思ってしまう。

M12. 預言

マイナーコードの曲がやたらと多い公演。この曲も編曲を間違えると16人曲はこんなメロディーの曲ばかりなので、「もう良いよ」とツッコミを入れたくなる。

ところがBメロからCメロのつなぎがEDMのドロップになって、Cメロのサビの編曲は完全にEDMになり、ツーコーラス目後の間奏もEDMなので、ちゃんと成立してしまう。

MC(トークコーナー)をはさんでアンコール前の曲。

M14. 彼岸花

彼岸花がテーマの赤のグラデーションの衣装が美しい。この公演、衣装も素晴らしい。

この曲は意表をつかれた。まさかピアノとストリングス主体の伴奏のこういう曲がこの公演に入ってくるとは思わなかった。

生中継で「卒業式か」という弾幕コメントが多数あったが、たしかにそういう曲。バラードが入ってくるなら8ビートだと誰もが予想するが、期待をいい意味で裏切られた。

メロディーはメジャーで合唱曲風だが、間奏で「中国風」音階が明確になる。(いっそのこと合唱曲風アレンジも作って欲しいと思う)

最後の感想でmomo(莫寒)が語っている内容はこんな感じ。

「私はすべてを書きとめている/悲しみも 幸福も/再び出会う日に/物語をすべてあなたに聞かせてあげる/」

続きのサビの歌詞はこんな感じ。

私はもう独りで泣かない
あなたへの思いを心の深くにしまって

かつて憧れた明日に向かって
その日はもう遠くないと信じている

ほら 私はとっくに笑顔を取りしてるよ
心にぽっかり空いた穴もうまって

前に向かおう
私たちの夢を載せて
前に向かおう

一歩ずつ前へ

私たちが再び出逢えるまで

いやこれは下手すると、ここで泣きますよ。

アンコールの後は、通常の公演では3曲だがこの公演は2曲。ユニット曲の「悪夢輪廻」はどうなったんだろうか?

Vol.4 重生&啓程(2048)

第四部は、復活と新たな旅立ち。2048年から2098年の未来に向けて。

ここでT.S.エリオットの引用が出てくる。

“Only those who risk going too far can possibly find out how far one can go.”
(度を越して危険を冒す人々だけが、どこまで遠くに行けるかを見つけることができる)

Harry Crosbyという詩人の”Transit of Venus”という詩集に寄せたまえがきからの引用らしい。

M15. 重生計画

この公演のタイトル曲。再びアニメのオープニング系に戻る。アンコール直後の1曲はだいたい「もうお腹いっぱいです」感のある曲が多いのでOK。転調なし。この曲の見どころは最後のリフレイン前の間奏のEDMとダンス部分。

最後に横にしたピースサインをつなげて「S」の字を作っている。

M16. 座標 121E 31N

東経121度、北緯31度は上海の位置なので「座標」。マイナー曲の多いこの公演が、こういう未来に希望が持てるような爽やかな曲で終わるのが良い。サビのコーラスはCC(徐晨辰)という説があるがそう聴こえなくもない。

転調はないがDメロがあり、その後サビのリフレイン前のブレイクあたりの編曲も良い。

最後に作詞・作編曲のクレジットをまとめておく。順に作詞、作曲、編曲。2018/11/24に公開された8曲の音源分だけ。残りが公開されたらまた更新する。

上海SNH48グループのオリジナル曲のクレジットはこちらから確認できる

上海SNH48 Team HIIの最新全曲オリジナル公演『HEADING NEWS』同様、ストーリー性の強い公演なので、案の定というか作詞は郭德紫毅。

明らかに日本人なのにいくら検索しても見つからない「清水裕太」氏は『HEADING NEWS』にも多数楽曲を提供している。

ASPJも『HEADING NEWS』に多数楽曲を提供、Team SIIではオリジナル曲『私的舞台』が最高の名曲。

Arisa Satoはkoshin(胡臻)氏の音楽制作会社のアーティスト。SNH48グループにはごくたまに曲を書いている。

Project Mは広州GNZ48への楽曲提供がメイン。SNH48公演曲は今回が初めて。

M01. 晨光
郭德紫毅,清水裕太,清水裕太。コーラスに一期生CC(徐晨辰)参加

M02. Forever XLVIII
郭德紫毅,ASPJ,ASPJ

M03. Who is the one
郭德紫毅,清水裕太,清水裕太

M04. 黒洞
郭德紫毅,Arisa Sato,Arisa Sato

M05. Lost
郭德紫毅,Project M,Project M

M06. Hold Me Tight
郭德紫毅,清水裕太,清水裕太

M07. 解語者
郭德紫毅,ASPJ,ASPJ

M08. 最終回合
郭德紫毅,清水裕太,清水裕太

M09. 無罪無我
郭德紫毅,Shaliponte,Shaliponte

M10. Somewhere
郭德紫毅,張毅非,胡臻

M11. 噩夢輪迴(悪夢の輪廻)
郭德紫毅,AFeng,RYU

M12. Restart
郭德紫毅,Arisa Sato,Arisa Sato

M13. 預言
郭德紫毅,清水裕太,清水裕太

M14. 彼岸花
郭德紫毅,KOSUKE+smoked salmon,KOSUKE+smoked salmon

M15. 重生計画
郭德紫毅,清水裕太,清水裕太

M16. 座標 121E 31N
郭德紫毅,幻想+您麒麟,您麒麟

シェアする