SNH48の『選我吧』がパクリかどうかが問題なのではない

上海SNH48グループ第五回総選挙の始動式が2018/05/26、SNH48チームHII公演終了後に劇場で行われたが、今年は演説会の一部が「夢想演播庁 Dream Studio 48」という特別企画で行われる。

去年までは毎回の公演終了後に、メンバーが順に立会演説会を行う形式だったが、今年は「Dream Studio 48」に参加するメンバーはこの特別企画でアピールし、それ以外のメンバーは去年同様演説会で投票をよびかける。

で、困ったことになったのは、総選挙始動式でSNH48チームHIIメンバーが踊ったこの企画のテーマソング『選我吧』だ。

「選我吧」は「私を選んで!」の意味なのでほぼ「Pick Me」の直訳だ。

楽曲そのものは韓国の制作者が『Produce48』版の『Pick Me (Nekkoya)』の発表より前、2018/03/21にすでにSNH48運営会社にデモを送信していたので、パクリでないことははっきりしている。(韓国の制作チームmonster factoryの声明はこちら

音楽的にパクリでなくても、似たようなスタイルの洗脳曲をテーマソングにしてメンバーの選抜をやるというコンセプトは、誰がどう見ても『Produce101』や、そのAKB48とのコラボバージョン『Produce48』のパクリだ。

これが普段の特別公演のコントコーナーや、メンバーが投稿動画でふざけてやるなど、明らかにパロディーの文脈でやるなら問題ないが、有償の劇場公演、かつ、総選挙の正式なローンチ・セレモニーではジョークですまされない。

SNH48運営会社は投資ラウンドのシリーズCを終えて、大手投資会社など業界外のステークホルダーをもつ立派な企業であり、中国版『Produce101』人気に便乗したこの企画はあまりにお粗末だ。

このSNH48運営会社の無神経さは、たぶんどこまでが内輪(現地のスラングでいう「河内」)なのか境界線が見えていないからではないか。

SNH48の中国国内の知名度が「地下アイドル」というには高すぎるし、全国区というには低すぎる微妙なレベルであることが原因の一つだろう。中国ではSNH48ヲタの思っている以上に、ヲタの外の世界はSNH48の動向に反応し始めている。

2017年末のSNH48二期生のネット炎上がその典型例だ。最近も、有名イラストレーターが広州GNZ48チームGの元メンバーと不倫をした件がネットで話題になり、中国ツイッター(新浪微博)のホット検索ワードの上位に入った。

先日ここでご紹介した、北京BEJ48運営がハイタッチを跳ばしたファンに謝罪文を書かせた件もそのランキングに入り、一部地域のテレビニュースでも取り上げられた。

運営会社がヲタと同じように内輪の世界と外の世界の境界線を意識できず、内輪だけで盛り上がっても、外の世界からは何とも思われないし、邪魔も入らないと誤解したままでは、株主や法人顧客(テレビ局、スポンサー)など、ヲタ(=一般消費者)以外のステークホルダーの利益を損なう。

『Produce48』版の『Pick Me (Nekkoya)』の前に『選我吧』が完成していたなら、逆になぜ今まで運営会社の経営層から社員まで、誰も「これマズくない?」と思わなかったのか。

SNH48グループはもしかすると本当に「地下アイドル」から脱皮する、ちょうどしきい値のところに来ているのかもしれない。というより、中国版『Produce101』放送が開始され、AKB48が中国再上陸したことで、自分たちSNH48の存在感が意外に大きいことにとまどっているのかもしれない。

今回の『選我吧』の件を教訓に、SNH48運営会社が知名度や企業規模にふさわしい社会的責任を自覚してほしいなぁというのが、筆者の願いだ。そうでないと投資家が本当に資金を引き揚げて、昨年末解散した「1931」や「ATF」のようになってしまう。

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