北京BEJ48ルールー(黃恩茹)自主制作ドキュメンタリー「中国の特色ある社会主義アイドル」

北京BEJ48チームJ、声楽専攻のルールー(黃恩茹)のドキュメンタリー映像が公開された。とても良質な作品なので、広州GNZ48映像作品とまた違う意味で必見。内容がかなり直接的。

これは彼女が同じ大学に通う、映像制作専攻の学生に依頼して制作したものらしい。北京BEJ48運営会社は全然ダメなので、メンバーのためにこんな映像を作るはずがない。

以下、彼女のセリフを引用してみる。

ファンとチームメイトの助けで夢を実現するのが、48系。つまりsale your dream、実は売っているのは一種の夢です。

このセリフは強烈。SNH48のキャッチフレーズは本来「sail your dream(君の夢の航海)」だが、ここでは「sale your dream」、たぶん字幕が間違いで、彼女は「sell your dream」、夢を売るのが48系だと言っている。

中国の特色ある社会主義少女アイドル

この「中国の特色ある社会主義」というのは、定番ネタ。中国政府が標榜している資本主義の考え方を取り入れた社会主義という意味だが、ここではSNH48グループの商業主義の一員という自分自身へのある種、冷めた視線とも読める。

SNH48運営がメンバー募集のとき言っていたのは、今の大学生の卒業後の就職率を見てみなさい。みなさん大学卒業後に仕事を見つけられると思いますか、などなど。クズ大学を出たら本当に仕事は見つからない。

エスカレーターを上ると大きなプレートがあって、私たちメンバー全員の大きな集合写真があります。そのうち16人は退団。今年(2017年)16人辞めました。実は大部分のメンバーが大砲の餌食です。

このあたりのセリフもかなり直接的で、こんなこと言って大丈夫?と思うけれど、それが彼女の狙い。

ここで「炮灰(大砲の餌食)」は、初めから長く続かないことを見越して採用されたメンバーくらいの意味だろうか。もとの意味は、大砲で殺されるのを分かりつつ、前線に送り出される兵士の意味。

ここには冷たいファンもいます。自分の能力が不足していると、かなり現実的な問題になります。何をやってもダメだと言われ、罵る人がたくさんいます。

SNH48ファンのメンバーへの激しい非難のこと。たぶん日本のアイドルのファンでは考えれないほど「ディスり」は執拗かつ強烈だと思う。

私はまだ大学に通えるからいいですが、他のメンバーは生活センター(訳注:メンバーの宿舎)を離れることもできないんですよ。一日中閉じ込められて。

今の私みたいに毎日学校に戻って講義に出たら、給料を引かれます。実を言うと、本当に疲れます。すごく疲れます。毎日寝不足という感じ。私たちメンバーは休暇なんて何もない感じです。

つまりこれが「中国の特色ある社会主義少女アイドル」ということだろう。

私は恋愛したことがありません。over。恋愛しちゃダメなんです。だんだん自分の性的傾向に疑いを持ち始めますよ。人が恋愛しちゃダメなんてこと、あり得ませんよね。

恋愛禁止ルールに、これもかなりストレートな批判。性的傾向に疑いが生まれてくるというのは、自分が同性愛なんじゃないかとさえ思えてくるという意味だろう。

失ったものより、得たもののほうが多いですね。失ったものなんて何もない。たくさんのものを手に入れました。

たとえば映画に出演もしたし、広告にも出たし、やっぱり良い経験ですよね。

小さな頃から歌を学んで、いつも歌を歌ったり、将来はずっと舞台に立ちたいと思っています。舞台に残りたいです。

私って運命をけっこう信じる人で、こういうチャンスが目の前にあれば、縁があったんだと思うんです。そしてやってみようと。

やっぱりすごく良かったと思います。普通の人とアイドルの最大の違いは、アイドルの間はたくさんのひとがじっと見てくれることです。普通の人なら、太ってようがどうしようが誰もかまってくれません。

自分をじっと見つめる視線がたくさんあればあるほど、監督してくれる人がたくさんいればいるほど、自分の進歩が速くなります。

自分の存在意義を疑っちゃいけないと言われます。ときどき私の存在はたくさんの人にとって、生きていくパワーになっているからだと。

この(ファンからの)言葉を読んだときは…

夢、汗、努力でしょ。

ちょっと日本のあの時代みたいに、(中国の)みんなもかなりガックリ来てるんだと思います。生活の中で心を寄せるものがないという感じ。

なので、生活の中にこういう、青春とか、ポジティブなエネルギーのアイドルグループが現れると、彩りが現れるんだと思います。

だから、ますますたくさんの人がSNH48を好きになるのかもしれません。

なので自分を完璧にして、そういうやり方でファンにお返ししたいと思ってます。実はこれって、一種の良い循環で、48系の特徴です。

ファンが与えてくれるものに頼って、例えばファンは私に総選挙でチーム内第一位という成績をくれましたが、この位置で自分を完璧にするように努力しなきゃいけません。これも一種の成長の鍛錬です。

私はやっぱり、少なくとも自分がまだ耐えられるうちは、こうやって続けていきたいと思ってます。自分を磨いていきたいと思ってます。

結局セリフを全部書きだしてしまった(汗)。最後の「磨合」という単語は、中日辞典には「慣らし運転」「調整、協議」の意味しかないが、最近の中国語では、価値観の違いや、困難、対立などを乗り越える努力をして、自分を環境に適応させ、より良くする意味。

途中はかなりドキッとさせられる批判的な事を言っておきながら、最後にはアイドルとしての決意を「宣言」するという、よくできた脚本。

本音のないキレイごとばかりの話は、誰も聞いてくれないので。

↓彼女によるフェイ・ウォン(王菲)『你在終点等我』という曲のカバー。素晴らしい。

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