TPE48が中国語圏では台湾でしか活動できないだろうことの意味

TPE48が、メンバー募集を開始、2017/09/01から正式にオーディションを始める件について。

この記事は純粋に筆者個人の意見ですので、読みたくない方は絶対に読まないでください。

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結論からいうと、TPE48は中国大陸で活動できない。台湾限定の小さなエンタメ市場で、ほそぼそと活動するしかない。

しかし、台湾にかぎらず、香港、シンガポール、マレーシアもふくめ、中国語圏の芸能人は中国大陸で活動しないとメジャーになれない。

したがってTPE48は、中国語圏でメジャーになれない。

以上が結論。

ここからはその説明。

まず地図で、SNH48と姉妹グループ、北京BEJ48、広州GNZ48、瀋陽SHY48、間もなく成立の重慶CKG48と、台湾の位置を確認しよう。

これを見ただけで、SNH48グループの中国大陸展開と、台湾のスケールの違いは分かる。

(以下、中国大陸を「中国」と略す)

ほとんどの日本人は、中国語圏といえば、中国、香港、台湾だけと思っているが、シンガポール人口の4分の3、マレーシアの4分の1は中国系だ。

[su_heading size=”16″ align=”left”]中国語圏のタレントは中国大陸で活躍しないとメジャーになれない[/su_heading]

中国で活動しないと中国語圏でメジャーになれない例として、中国の2017年年越し特番と、旧正月特番の主要ゲストを見てみよう。

2017年年越し特番の主なゲスト

浙江衛星テレビ:鹿晗 孙燕姿 陈赫
北京衛星テレビ:罗志祥 黎明 张信哲
東方衛星テレビ:王菲 陈奕迅 唐嫣 罗普
江蘇衛星テレビ:陈伟霆 薛之谦 吴亦凡 蔡依林
四川衛星テレビ:陶喆 孙楠 谭维维 范玮琪
安徽衛星テレビ:李易峰 陈乔恩 唐嫣 罗普
(注:東方衛星テレビは上海)

うち中国以外は、孙燕姿(ステファニー・スン:シンガポール)、罗志祥(ショウ・ルオ:台湾)、黎明(レオン・ライ:香港)、张信哲(台湾)、陈奕迅(イーソン・チャン:香港)、陈伟霆(香港)、蔡依林(ジョリン・ツァイ:台湾)、陶喆(デヴィッド・タオ:香港⇒台湾)、范玮琪(クリスティン・ファン:米国⇒台湾)、陈乔恩(台湾)。

つまり、21人のうち10人が中国以外の出身。

王菲(フェイ・ウォン)は北京出身だが、香港でブレイクして中国に「逆輸入」された。ルハン(鹿晗)、クリス・ウ(吴亦凡)も中国生まれだが、韓国EXOでブレイクして中国に「逆輸入」された歌手だ。

2017年春節(旧正月)特番の主なゲスト

浙江衛星テレビ:郑恺 陈赫 王俊凯 董子健 张一山 王大陆 周杰伦 林俊杰 李宇春 林忆莲 蔡依林 孙燕姿
北京衛星テレビ:唐嫣 罗晋 范冰冰 李晨 王凯 关晓彤 邓紫棋 毛阿敏 凤凰传奇
東方衛星テレビ:李宇春 凤凰传奇 费玉清 柳岩
江蘇衛星テレビ:TVB群星 李雪健 张凯丽
安徽衛星テレビ:李宇春 薛之谦 张菲 费玉清

うち中国以外は、王大陆(台湾)、周杰伦(ジェイ・チョウ:台湾)、林俊杰(JJ Lin:マレーシア)、林忆莲(サンディ・ラム:香港)、蔡依林(ジョリン・ツァイ:台湾)、孙燕姿(ステファニー・スン:シンガポール)、邓紫棋(G.E.M:上海⇒香港)、费玉清(台湾)、TVB群星(香港TVBテレビのスターたち)、张菲(台湾)。

重複はあるが28人のうち10人が中国以外の出身。年越し特番より少ないのは、おそらく春節の方が「中国色」が強いため。

以上のように、中国のエンタメ業界は、中国以外の中国語圏の芸能人なしでは成立しない。中国製音楽コンテンツの質が依然として低いためだ。

一方、中国以外の芸能人は自国の市場が小さすぎ、中国で活動しないと中国語圏全体で人気が出ない。

中国エンタメ業界と中国以外の芸能人は、おたがいを必要としている。

[su_heading size=”16″ align=”left”]TPE48が中国大陸で活動できないだろう理由[/su_heading]

こういう状況で、TPE48はどうなるのか。

残念ながら、結成前から中国で活動できないことは、ほぼ確定だ。

その理由は2つ。

(1) SNH48グループがいるから。
(2) 政治的立場が難しいから。

まず(1)、いうまでもなく中国には、上海SNH48とその姉妹グループ、北京BEJ48、広州GNZ48、瀋陽SHY48、重慶CKG48(間もなく結成)がある。最初の地図にあるとおりだ。

SNH48グループはAKB48と決裂後、猛スピードで北京、広州をおさえ、東北地区の足がかりの瀋陽、内陸部への足がかりの重慶もおさえた。

AKB48と決裂してようやく事業展開を加速できたと言えるかもしれない。

「四千年に一人の美少女」キクちゃん(鞠婧禕)は、中国全国で知られる女性俳優の一人になりつつある。

SNH48グループは、中国の全国放送のバラエティー番組に普通に出演できるレベルになっている。

先ほど例にあげた2017年年越し特番、旧正月特番で、SNH48グループの出演状況は以下のとおり。

2017年年越し特番:中国中央電視台、東方衛星、江蘇衛星、湖南衛星、北京衛星、広東衛星
2017年旧正月特番:中国中央電視台、東方衛星、江蘇衛星、安徽衛星、重慶衛星、広東テレビ、瀋陽テレビ

このように、年越し、旧正月の特番をいくつも掛け持ちしている。

また、香港でも最近、広州GNZ48が香港テレビ局TVB出演を果たし、今後も活動を広げていく。

台湾でも、SNH48メンバーが最近長期滞在して、初めてドラマ撮影をした。

[su_heading size=”16″ align=”left”]SNH48運営が実現している絶妙な政治的バランス[/su_heading]

つぎに(2)、政治的立場の難しさ。

一つ例をあげる。

日本でもおなじみのビビアン・スー(徐若瑄)は、日本で活躍して台湾にもどった後、中国でも活動していた。

しかし、2010年東京国際映画祭のゴタゴタで台湾独立派だと「誤解」されてから、中国の仕事がなくなり、中国語圏で人気が急降下した。その後もこの「黒歴史」を掘り返され、中国での活動再開は失敗している。

それと反対に、同じ台湾出身のウォレス・フォ(霍建華)とルビー・リン(林心如)の結婚は、中国のエンタメニュースでも歓迎され、ウォレス・フォ(霍建華)は中国で再ブレイクした。

当然、SNH48運営はこの状況を理解している。

SNH48グループは日本系アイドルでありながら、中国共産党のお墨付きをもらった。今年2017/05/04「五四青年節」に共産党青年団から「優秀青年」として表彰されている。

また先日の香港返還20周年では、同じく共産党青年団主催の音楽祭に出演した。中国中央電視台(CCTV)の音楽番組にもふつうに出演している。

ただし、SNH48運営会社は政治的立場を明言しない。SNH48グループのメンバーも、ほとんどが日本のアイドル、漫画、アニメ、ドラマ、映画、特撮などが大好きだ。

一方、盧溝橋事件(七七事変化)、満州事変(九一八事変)、国慶節、いわゆる「南京大虐殺」などの日には、SNH48運営は一部メンバーの中国ツイッターアカウントを使って、中国政府にならうツイートをする。

しかしそのときも直接的な「抗日」メッセージは避け、「歴史を忘れない」とする。

SNH48運営会社は、ビジネスと政治の絶妙なバランスをとりつつ、猛スピードで事業展開している。

これも、AKB48運営と決裂したからこそ出来ることだ。AKB48と提携したままでは、共産党とこの絶妙な距離をとることは難しかっただろう。

この状況でTPE48が中国に入りこむには、SNH48運営の和解と再提携が必須条件だ。そうしないと(1)、(2)とも解決できず、TPE48は台湾限定で活動するしかない。

しかしAKB48運営が和解したくても(するつもりはないだろうが)、SNH48運営は投資ラウンドの「シリーズC」を終え、株式公開(IPO)の一歩手前まで成長している。

SNH48運営会社からすると、よほどビジネス上のメリットがなければ再提携はありえない。

以上のことから、TPE48は台湾の小さなエンタメ市場で、ほそぼそと活動するしかなく、中国語圏に広く人気が出ることはないだろう。

AKB48運営が、この予測をどうやって裏切ってくれるか楽しみにしよう。

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