SNH48「7 SENSES」結成関連で中国のクラブシーンが有望な市場か調べてみて愕然とした件

SNH48の新派生チーム「7 SENSES」に関連して、上海のクラブシーンと、コミケ市場をネットで調べて比較してみた。

(残念ながら筆者は体調の理由で海外旅行できないのでネットで調べるしかない。SNH48グループの公演も同じ理由で行けないのだが、そういう筆者に「在宅のくせに」と平気で罵声を浴びせるのが日本のヲタのみなさんの倫理観だ。ネットで触れる現地ファンの皆さんは筆者のそういう事情を理解してくれているので、そんな非倫理的なことは直接言わない)

まず中国国内のクラブシーンから。

一つ見つけたブログ記事がこちら。

Clubbing in Shanghai (Resident Advisor)

DadaとThe Shelterという上海のクラブが紹介されている。

この記事が書かれた2012/12時点で中国に存在するクラブシーンは、基本的に中国に住んでいる外国人のためのものであること。

ほとんどの中国人が英語を理解できないので、海外資本が入ったクラブもプロモーション活動ができないこと。

ブログの最後は「上海の膨らみ続ける人口とその経済規模を考えれば、この都市のクラブシーンがアジアでもっとも協力なものにせいちょうしないはずはないだろう」と、希望的観測になっている。

そして、実際にDJをしているDJ MURASAKIさんの2015/10/07のブログ記事。

超巨大クラブが当たり前!? 中国のクラブシーンに迫る!上海クラブレポート 〜REACH・π編〜 (DJ HACKS)

中国の超巨大クラブはVIP席が9割、ダンスフロアが1割。VIPが遊びに来て豪遊することで、クラブの経営が成り立っているとのこと。

「人が踊ってもお金にならないでしょ?」「座りたければお金を払いなさい」というのが、中国人のクラブ経営に対する考え方だと、DJ MURASAKIさんは書いている。

つぎに、最近評判の悪い「まとめサイト」から、【2017年版中国上海】上海でClub、Bar、Livehouseで音遊びをするなら・・・! (NAVERまとめ)

最初に紹介されているThe Shelterの時点で、いきなり「2016/12/31に閉店」とある。


「Resident Advisor」の記事でThe Shelterは、DJ MURASAKIさんのいう、VIPの豪遊だけで経営が成り立っているような超巨大クラブとは一線を画する、ミニマルなクラブと高く評価されていた。

じゃあ他に中国にクラブはないのかと、いろいろネットで調べると、The Shelterからこのサイトが見つかった。

SmartShanghai.com

まずこのサイトを見てひと目で分かるように、英語だ。つまりこのサイトは、やっぱり中国在住の英語が読める外国人や、欧米留学帰りの中国人(当然中国の若者の中では少数派)のためにあるということ。

そして決定的なページを見つけた。

Closed Venues in Shanghai – SmartShanghai.com

上海で閉鎖されたクラブの一覧だ。

上から2017年、2016年と閉鎖されたクラブの名前が「R.I.P」という追悼(笑)と、閉鎖された日付とともに列挙されている。

2017年になって以降だけでも22か所のクラブが閉鎖されている。中国でおそらく最も海外のトレンドを受け入れやすい上海でさえ、どれだけクラブの経営が成り立たないかが痛いほどわかる。

逆に上海で経営中のクラブのリストはこちら。

Clubs – SmartShanghai.com

この「Clubs」には、DJとダンスフロアからなる、いわゆるクラブ以外のラウンジも含まれているのでタグで「Clubbing」を選んで絞り込むと、たった13か所

2017年になってからすでに22か所も閉鎖されるペースの中で、この記事を書いている2017/04/09時点で13か所しか存続していない。そのなかにはもちろん「Dada」がある。

では、中国全土でコミケはどれくらい開催されているのか。

公正を期すために、まず上海にしぼって開催される予定のコミケ一覧。サイト名は「喵特(にゃ~と)」

上海コミケ 2017年時間表 開催予定分 (にゃ~と)

要するに毎週末、上海のどこかで、何かのアニメ、漫画、ゲーム関係のイベントやコンサートがあるということ。

この開催予定分中国全土に広げて検索すると、22ページの結果が出てくる。このサイトでは1ページあたり16件表示されるので、約350件。

当然コミケなので、クラブハウスみたいな屋内ではなく、東京ビッグサイトや幕張メッセのような広大な場所。そこに大勢のアニメ、コミック、ゲームファンが集ってくる。

毎週末に集客するとして、いまの中国で、クラブ・ミュージックとアニメ、コミック、ゲームなど日本発のサブカルチャーのどちらに集客力があるか、一目瞭然だと思う。

しかもクラブはVIPが豪遊して初めて経営が成立する、収入源が非常に偏った市場。

それに対してコミケは、ご承知のとおり一部はフィギュアなど高値がつくものもあるけれど、日本の関連企業や、大勢の同人作家が単価の安い作品グッズを中心に、「薄く広く」かつ参加者どうしの密接なコミュニケーションで成り立っている市場。

SNH48グループの売上の基盤となる市場は、もちろん後者にあり、中国現地のAKB48ファンに呼応したマーケットインでもあり、プロダクトアウトでもあるビジネスだ。

市場からの要請と、制作者側の事業企画が、おたがいに需要と供給の関係で成立することができる。それが中国のサブカル市場ということが言える。

それに対して、市場としてのクラブシーンはどうだろうか。

「7 SENSES」はクラブシーン市場に対する供給側からのプロダクトアウトだが、DUB STEPやTRAPふくむ本格的なDJプレイを楽しむようなクラブシーンからの需要などあるだろうか。

彼女たちのような「恋愛禁止」というお子様の戯言レベルの意味不明のコンセプトをもち、中途半端なセックスアピールしかない女性グループに対する需要などあるだろうか。

明らかにそんな需要はない。「7 SENSES」はSNH48運営会社からの一方的なプロダクトアウトで、まともな市場調査をした結果とは思えないほど、お粗末なプロダクトアウト企画だ。

だとすれば「7 SENSES」にとって可能性のある市場は、K-POP女性グループの中国国内のファンしかない。

現在、中国ではTHAADミサイルが韓国に配備されて以降、マスメディアでの韓流の露出を厳しく制限している。EXOのレイが中国で人気バラエティー番組に出演できるのは、中国人だからだ。「韓国のグループEXOのレイさんです」とは決して紹介されない。

朴槿恵大統領の後の新大統領は、中国に対してより強行的な政策を取ることが確実視されている。

米国が中国に歩み寄って朝鮮半島を軽視すれば韓国のナショナリズムは高揚するし、中国との対立姿勢を強めて韓国を対北朝鮮・対中国の軍事拠点として強化すれば中国と韓国の政治的対立は先鋭化するし、どちらにしても中国国内のK-POPは分が悪い。

日本はある意味、中国にとっても、米国の新政権にとっても、あまり重要性がない分、文化交流の面では中立的に中国市場に浸透できる。もちろん中国にとって「政治的に無害」である限り。

幸いなことに日本のヲタクは政治にはまったく無関心か、ヘタレ右翼(=例えば一水会のようなまともな思想的背景のある右翼ではないという意味)かのどちらかで、中国政府にとって脅威になる要素はまったくない。

以上のことから、筆者なりに結論づけると、「7 SENSES」はSNH48運営会社のスタッフがクラブシーンを楽しめるメンバーを巻き込んで立ち上げた、趣味、余興レベルの企画。市場調査にもとづいて事業として成り立つかが、まともに考慮されていない。

SNH48運営会社がこういう弱点を持っているのは、ある意味やむを得ない。SNH48を中国に持ち込んだのは、AKB48運営会社で、中国市場で事業として成立すると考えたからだ。

ここまで考えると、AKB48運営会社がSNH48グループから手を引いた理由が分かるようなきがする。つまりSNH48運営会社はまともなマーケティングをせずに、盲目的な拡大路線をとっているということだ。

それでもその拡大路線がAKB48系グループのコンセプトに合致している限り、AKB48運営会社にはまだSNH48との提携を続ける事業観点の利益があった。

ところがSNH48運営会社内部から、今回の「7 SENSES」や、男性グループ「N2M」のような、まともな市場調査さえ行われていない非常にハイリスクの企画が出てきた。

中国の投資会社なら検討対象になるかもしれないが、日本企業がそんなハイリスクな投資に手を出すわけにはいかない。

なのでSNH48の経営から手を引くのが懸命だと判断した。それが去年2016/06のAKB48運営会社とSNH48の決裂だと考えられなくもない。

AKB48運営会社が「契約に反してSNH48側が北京、広州姉妹グループ結成を進めたから」というのは、表向きの理由の可能性が高い。

というのは、2015年の段階ですでにAKB48運営とSNH48運営は共同で、少なくとも北京、広州については姉妹グループ展開を考えていたからだ。

とは言え、本当の理由、つまりSNH48運営会社が「N2M」や「7 SENSES」のようなハイリスク案件に着手している事実を開示することは、両者の機密契約上も、また中国国内の株式市場に対する適時の情報開示の観点からも、昨年2016/06段階ではまだ公表できなかったはず。

そういう状況でAKB48運営会社がSNH48から手を引く際に、公開しても無害で、かつ、もっともらしい理由として「勝手に姉妹グループ展開を進めたから」というのは、よく出来たプレスリリースだと思う。

これら、周辺状況から推測できるSNH48運営会社のいまの内部状況と、メンバーの毎月のギャラがここ数か月大幅に減額されている事実を合わせると、SNH48運営がリスクの高いプロジェクトに、あえて踏み込んでいるのではないかと思われる。

でも中国企業に対してAKB48運営会社のような日本企業が、「AKB48系グループの中国全国展開という手堅い事業展開で、経営基盤を強固にしてから、ハイリスクの案件を考えましょうよ」と説得しても、言うことを聞かないだろうなぁ、ということも容易に想像できる。

以上が、筆者の単なる妄想。単なる妄想です。

このブログ記事は、政治的な内容を含むので中国2ちゃんねるに転載できないだろうから、安心していろいろと書けた(笑)。

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