上海SNH48派生チーム7SENSESの1st EPメイン曲『7SENSES』パクリ疑惑を詳細に解説

上海SNH48のK-POPスタイルの新派生チーム「7SENSES」のプロデューサであるSNH48運営スタッフが、深みにはまっているようだ。

きっかけは現地ファンが「7SENSES」のファーストEPのタイトル曲『7SENSES』が、韓国の男性グループNCT 127の『Fire Truck』という曲のパクりだと騒ぎ始めたこと。

まずは2曲をお聴き下さい。

NCT 127『Fire Truck』

7SENSES『7SENSES』

なお各曲の作曲・編曲者は以下のとおり。もちろん別人である。

NCT 127『Fire Truck』
作曲:LDN Noise / Tay Jasper / Ylva Dimberg
編曲:LDN Noise

7SENSES『7SENSES』
作曲:Shinsadong Tiger
編曲:Shinsadong Tiger

ちなみにNCT 127には『The 7th Sense』(第七感)という曲がある(2016/04発行)

この曲名と「7SENSES」(第七感)の名前が似ているのは、もちろん偶然だろう。偶然だ。

そして現地ファンのパクりという騒ぎに対して、「7SENSES」の企画者であるSNH48運営スタッフが、中国ツイッター(新浪微博)で公然とSNH48の現地ファンを批判した。この種の曲を聴いたこともない人間がいい加減なことを言うなと。

そのツイートにはダンス・ミュージックファンから賛同のコメントが多数ついて、「7SENSES」のプロデューサは力強い援軍を得た結果になった。逆に言えば、現地SNH48ファンの顔を平手でたたく(打臉)結果になった。

そして中国ツイッター(新浪微博)のSNH48公式アカウントは事態を収拾すべく、2017/04/17 20:33に以下のようなツイートをした。

【『7 SENSES』(第七感)の曲風の問題についての回答】音楽プロデューサとの話し合いを経て、以下のように状況をお知らせします。SNH48国際化チームである7 SENSESのファーストEPのメイン曲『7 SENSES』(第七感)として、米国で活躍している音楽プロデューサを招待していっしょに制作をしました。

制作の初めに国際的なトレンドをしっかりフォローしたいという希望はすでに決まっていて、国際的に比較的流行しているSound Trapスタイルを基礎として採用し、かつ曲の種類はtwerk進行で制作しました。

この種類のスタイルが限定的なので比較的似ているという誤解を受けた可能性があります。しかし『7 SENSES』(第七感)そのもののkilling pointは他の曲と違ってdropの構成を使っており、1、2、3、4、5、6、7のカウントで始まる部分は、この曲独自のソウルに属するものです。PS:音楽プロデューサは同じようなスタイルの曲目を整理して、近日中にみなさんにシェアしようと考えています。

「Sound trap」とあるが、Wikipedia(英語)を調べた限り「Sound trap」というジャンルはなく「Trap music」というカテゴリーがあるだけ。

「Trap music」の作り方は、1拍子を2分割または3分割したハイハットと、Roland TR-808の重たいキックドラム、複数のシンセサイザートラックの組合せということらしい。

『Fire Truck』や『7SENSES』の特徴的な音色のキックドラムは、どちらも「trap music」の重要な要素。

「Twerk」というのは音楽のスタイルではなく、ダンスのスタイル。腰を低くしたセクシーなダンスで、通常は女性が踊る。

YouTubeで見つけた、比較的見るに耐えるTwerkのサンプルはこちら。

「Drop」はWikipedia(英語)によれば、EDMに限らずポピュラーミュージック全般に使われるスタイル。リズムやベースラインが切り換わるところで、はっきりと分かる構成の変化やブレイク(ほぼ無音の部分)が入っている部分のこと。

例えば「trance」によくあるような、段々と盛り上がって、盛り上がりが絶頂に達した時に、ブレイクが入ってリズムパターンが変わるという、あの部分が「drop」。

なので、trance、hardcore、progressive house(筆者が大好きなunderworld)、dubstep、hip hop、どんなスタイルのEDMにも入っている要素。

Wikipediaで実例として挙げられていたのは、Fergie『A Little Party Never Killed Nobody』の0’36″部分。

ああこれこれ、という感じ。これを「drop」というなら、ほとんどのEDMに入っている。

ピコ太郎『PPAP』の0’45″も「drop」(本当?)

7SENSESの『7SENSES』の場合は、「1、2、3、4、5、6、7」というカウントの終りの部分で「drop」になっている。

冒頭のカウント終わり、0’58″のカウント終わり、1’56″のカウント終わり、3’05″のカウント終わりなどが「drop」。3’29″にも「drop」がある。ある意味「drop」だらけ。

この記事を書くためにYouTubeでいろいろEDMを聴いたけれど、筆者はやっぱりprogressive house、future bassくらいシンセかメロディーが美しくないと、ちょっと限界(汗)。

そして筆者が個人的に思うのは、EDMなんて、MIXのMIXの、そのまたMIXのMIXくらいで出来上がっているので、『7SENSES』は『Fire Truck』のパクりだ、パクリではない、という議論自体が不毛。

それより、そもそもなぜこんな不毛な議論が起こってしまったのかを、SNH48運営会社はよく考えるべき。

つまり、普段EDMを聴かない現地SNH48ファンに、企画者の自己満足でEDMの特定の音楽スタイルを、以前このブログにも書いたようにプロダクト・アウトで押し付ければ、ファンの感情的な反発からパクり騒動が出てくるのは、事前に予測できたはず。

むしろ、普段J-POPやアイドルポップ、せいぜい米国のグラミー賞を受賞するような比較的聴きやすい黒人音楽しか聴かないような人たちに、いきなりこんな曲を聴かせて受け入れられると、どうして企画者が思えたのか、その理由がまったく分からない。

企画者の強引なプロダクト・アウトに対して、起こるべくして起こった現地ファンの反応ということで。

広州GNZ48初の全曲オリジナル公演チームNIII『第一人称』に好き勝手コメントしてみる(3)

広州GNZ48として初の全曲オリジナル公演、チームNIII『第一人称』の各曲に好き勝手コメントする記事の続き。今回で完結。

M10.少女革命

マイナーコードのEDMだが、どちらかと言うとシンセの音色にエフェクトを多用するというより、各種シンセの原音をそのまま鳴らす1980年代のエレクトロポップに近いところを狙ったdaft punkに似た「清潔な」音作り。EDM形式のアイドルポップとして妥当だと思う。

曲の構成に特筆すべきことはない。転調なし。ただサビが前半と後半に分かれていて、後半の「shut up! shut up!」がフックになっている。サビのメロディーが二種類あるのがすでに当然になって来ている点に、SNH48グループの楽曲水準の向上がはっきり分かる。

この曲の後半の間奏のダンスが、この公演『第一人称』の予告映像に出てきたあのカッコいいステップだったというわけだ。広州GNZ48チームNIIIも、同じ広州GNZ48チームZと同様、ダンスがそろっていて素晴らしい。

M11.Never Land

繰り返しになるが、この日の公演はエイプリルフール特別公演で、セットリストを16曲目から1曲目まで逆順に上演して、公演中にもいろんなところをわざと逆にしている。

この曲はサビ始まりだが、その冒頭のサビを歌うとき、普段はメンバーが舞台の最前部に座って、舞台から脚を下ろして歌う。すると客席最前列の超VIP席の観客と至近距離になる、というのが、この曲の演出で観客をびっくりさせた部分。

この日はエイプリルフール特別公演なので、冒頭でメンバーが客席に背を向けて歌っている(笑)。

この曲も編曲がとても美しい。冒頭のサビの後半のアコースティックギターのストロークが聴こえてくる部分は、ちょっと感動する。

観客がきっちり掛け声(MIX)を打てる、十分な長さのイントロ。その後も楽器の数が少ないAメロで、やはり観客が声援を送りやすい編曲。Bメロは典型的な「パーンパパン」リズム。

その後に現れる実際のサビは、イントロと違って明確なバックビート乗りで、メロディーの譜割りも意図的に変えられている。

次の間奏はワンコーラス目からツーコーラス目へのつなぎとしては、長過ぎるくらいの長さで、やはり観客が心ゆくまで声援を送れる編曲になっている。ツーコーラス目の後のアウトロも、十分な長さ。

転調や凝ったメロディーは無いけれど、やはり、こういう舞台上と客席のインタラクション(互動)が、48系グループの劇場公演の基本だと感じさせる。
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SNH48「7 SENSES」結成関連で中国のクラブシーンが有望な市場か調べてみて愕然とした件

SNH48の新派生チーム「7 SENSES」に関連して、上海のクラブシーンと、コミケ市場をネットで調べて比較してみた。

(残念ながら筆者は体調の理由で海外旅行できないのでネットで調べるしかない。SNH48グループの公演も同じ理由で行けないのだが、そういう筆者に「在宅のくせに」と平気で罵声を浴びせるのが日本のヲタのみなさんの倫理観だ。ネットで触れる現地ファンの皆さんは筆者のそういう事情を理解してくれているので、そんな非倫理的なことは直接言わない)

まず中国国内のクラブシーンから。

一つ見つけたブログ記事がこちら。

Clubbing in Shanghai (Resident Advisor)

DadaとThe Shelterという上海のクラブが紹介されている。

この記事が書かれた2012/12時点で中国に存在するクラブシーンは、基本的に中国に住んでいる外国人のためのものであること。

ほとんどの中国人が英語を理解できないので、海外資本が入ったクラブもプロモーション活動ができないこと。

ブログの最後は「上海の膨らみ続ける人口とその経済規模を考えれば、この都市のクラブシーンがアジアでもっとも協力なものにせいちょうしないはずはないだろう」と、希望的観測になっている。

そして、実際にDJをしているDJ MURASAKIさんの2015/10/07のブログ記事。

超巨大クラブが当たり前!? 中国のクラブシーンに迫る!上海クラブレポート 〜REACH・π編〜 (DJ HACKS)

中国の超巨大クラブはVIP席が9割、ダンスフロアが1割。VIPが遊びに来て豪遊することで、クラブの経営が成り立っているとのこと。

「人が踊ってもお金にならないでしょ?」「座りたければお金を払いなさい」というのが、中国人のクラブ経営に対する考え方だと、DJ MURASAKIさんは書いている。

つぎに、最近評判の悪い「まとめサイト」から、【2017年版中国上海】上海でClub、Bar、Livehouseで音遊びをするなら・・・! (NAVERまとめ)

最初に紹介されているThe Shelterの時点で、いきなり「2016/12/31に閉店」とある。

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SNH48新派生チーム「7 SENSES」プロデューサが結成までの経緯を長文ツイート

SNH48の音楽プロデューサ的なポジションの滕少さんが、新派生ユニット「7 SENSES」の結成までの経緯について、中国ツイッター(新浪微博)で長文ツイートしていたので、日本語試訳。

なるほどそういうことか、と思った。原文の2017/04/08 14:12のツイートはこちら

7SENSESがついにデビューした、やっと時間ができたのでみんなに7SENSESのストーリーについて話そうと思う。

まず、最初の構想をしていたとき、4人のチームを作るつもりで、それほどすごいものを作ることは考えていなかった。せいぜい48系の中で少し目立つようなものしか考えていなかった。

2015年はじめになって、確かに4人だと公演のユニット曲と似すぎていると思った。しかも曲のスタイルも48系と同じなら、観客のみなさんがどうしてこの4人のユニットをわざわざ見に来るだろうか、公演を見に来ればいいじゃないか、と思った。

その後、僕の心配を裏づけることがあった。2014年から、会社にいたYさん(訳注:AKB48から派遣されていた顧問)がいつもAKB48のDIVAのCDを僕のところに持ってきて、その後、ある日僕に言った。

DIVAはやらない。これが最後のCD。わかった、OK。それでこのとき、チームを作る企画は僕の頭から完全に捨て去った。

その後に考えた方向は、まず第一に48のスタイルと完全に区別すること、第二に必ず特徴をつけること。何かのタイプの模倣ではダメだということ。他人の影になってはいけない。

それで7人のプロトタイプと、音楽スタイル、全体のイメージ設定にだいたいの方向付けができた。初稿が完成したとき会社の内部で提案して、許可を得てから引き続きさまざまなコンセプトとコンテンツを仕上げていった。

2015年9月、Big-Hit(訳注:韓国のレコードレーベル)の社長が会社に来て僕らと文化交流を行ったとき、深い話をした後、Bang社長のひとことが僕の考えを一気にクリアにしてくれた。

タレントが自分のいちばん好きなスタイルをやる、毎日彼女たちのレッスンをじっと見ている必要はない。彼女たちが自分でレッスンするんだ」「グループのイメージ設定は歌やダンスよりももっと重要

しばらく考えた後、僕らは7SENSESのために中国国内では数少ないGirl Crushのイメージと曲のスタイルを設定して、女性グループを男性グループ化することがキーワードになった。

Hip-Hop文化と音楽は、ずっと実力派アイドルグループの武器で、これはブラックカルチャーが起源になっている。リズムとビートが若者にとても愛されていて、今のところ全世界で主流の音楽のトレンドになっている。

7SENSESがもしこのメインカルチャーに立脚するとすれば、この種の武器を使うのは必然的な結論だった。ただ当時は48系のファンの皆さんのことを考えると、多くはロックを聴いて成長している。

ロックのリズムパターンとメロディーの方向とHip Hopという原案は両極端だ。48系のファンは慣れないし受け入れられないかもしれないと思った(じっさい7SENSESのデビューライブの後、確かにこういう状況が現れた)。

ただ最終的に会社のいろいろな部門の同僚たちと話し合って、みんなも原案がチームの進むべき道だと思っていた。もともとのカルチャーやスタイルにこだわる必要はない。そこで最後にさらに進んで、Hip Hopだけでなく最新のトレンドのTrapの要素も取り入れることにした。

アジアや欧米のいろいろなトップクラスのプロデューサやDJとコラボして、今回の7SENSESの作品を作り出した。
チームの人選については、ずっと「タレントが自分のいちばん好きなスタイルをやる」この言葉を胸に刻んでいた。

SNH48の100人強の少女のうち、本当にこの種のカルチャーが好きで、スタイルを変えたいと思っているメンバーで、かつトータルな人物設定に合うメンバーは決して多くなかった。

2016年12月、二年にわたって選んだこれらのメンバーが同時に僕の目の前に立ったとき、確かにある種の衝撃を感じた。それで僕らは決心した。必ず人前に出せる一大事を成し遂げてみせると

以下、筆者の個人的な考え方なので、読みたくない方は必ず無視して下さい

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広州GNZ48初の全曲オリジナル公演チームNIII『第一人称』に好き勝手コメントしてみる(2)

広州GNZ48として初の全曲オリジナル公演チームNIII『第一人称』の各曲に好き勝手コメントする記事の続き。

ちなみになぜチームN”III”なのかというと、上海SNH48二期生のチームが結成されたときは、まだSNH48運営がAKB48グループのことを意識していて、NMB48のチームNの次ということでチームN”II”になった。

ただその後はご承知のとおりで、新潟NGT48チームN”III”よりも後にできた広州GNZ48のNのつくチームは、同じくチームN”III”になっている。

そんな話はどうでもよくて、今回はユニット曲から。

M05.妖精(精霊)

くり返しになるが、これはエイプリルフール特別公演で、セットリストが16曲目から1曲目まで逆順に上演されている。なのでこの曲のセンターのナオナオ(卢静)は、いつもは背中に付けている大きなリボンを胸につけている。

この曲はお聴きなってすぐ分かるように、オーケストラル・アイドル・ポップ(そんなジャンルがあるのか知らないけれど)として、完璧な編曲。歌詞なしで最後まで「ラララ」だけでも、十分鑑賞に耐える曲になっている。

イントロの管弦楽アレンジから、Aメロで楽器の数が一気に減り、しかも「ダダダダ」と「ララララ」と、歌詞までシンプルにされている。Bメロでやっとバスドラムが入る程度。

AメロとBメロがセットでくり返されて、サビに入る直前のストリングスのピッチカートもうっとりする。

そしてサビで一気に伴奏が分厚くなり、Cold Playの『Viva La Vida』そっくりにティンパニの強打で盛り上がる。

ただ、Cold Playの『Viva La Vida』を今回聴き直してみると、ティンパニが印象的なサビの楽器はほぼすべてアコースティックで電子音はない。

それに対してこの『妖精』は、ティンパニの音色が使われているが、ティンパニと同時に鳴るリードも含めて、その他の音はすべて電子音、16分音符で細かく鳴っている分散和音も電子音と、編曲の考え方は『Viva La Vida』と全く違う。

(個人的にサビでティンパニが思いっきり鳴るポップスでは、Dream Academyの『Life In The Northern Town』の方が先に思い浮かんだけれど)

ツーコーラス目の前の間奏のストリングスとフルートの音階の駆け上がりと駆け下り、その背後で鳴っているホルンのロングトーンというのは、ありがちだけれど、「どうせアイドルの曲だし」と油断して聴いていると、不意を突かれて、感動して涙が出そうになる(笑)。

ツーコーラス目のAメロは最初からクラップもコーラスも入って、ポップスらしいアレンジになり、エレキベースもはっきり聴こえてくる。

それでもストリングスの編曲ははっきりしていて、全体としての美しさや端正さは損なわれていない。

ツーコーラス目終わりの間奏、ストリングスの細かい音符の上で、ホルンがシンプルで力強く鳴る部分も、とてもアイドル曲とは思えない天国的な美しさ。

ちなみに股割りをしているのは、りんたん(肖文鈴 Xiào Wén Líng シャオ・ウェンリン あだ名: リンたん GNZ48 Team NIII
 SNH48 6期生
 2001/01/24四川省生まれ
)。

この曲だけで半年くらいは生きていける感じがする。

調性がかろうじて残っているくらいの後期ロマン派のクラシックが大好きな筆者としては、単なるアイドルポップでここまで美しい管弦楽編曲をされてしまうと、何も言うことがない。

今までのSNH48グループのオリジナル曲の中で、アイドルらしい可愛らしさと、管弦楽の荘厳さを両立させている奇跡という点で、個人的には今のところベスト。

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