上海復旦大学卒業のAKB48ファンのSNH48公演レポート

上海復旦大学(日本でいえば京大レベル?)卒でAKB48の大ファンという中国の方の、2013/10/12 SNH48公演レポートを日本語に試訳する。宮澤佐江、鈴木まりやの2人が参加した公演2日目のレポートだ。

SNH48 REPO (endworld’s Evernote)

ではここから試訳スタート。

「まずちょっと想像してみて~ベルリン・フィル(あるいはその他のすごいオケ)が上海でオケを作って、その中中国人楽団員がベルリン・フィルに認められて、それから2人のベルリン・フィルの楽団員がパートのマスタをしに来たとしよう。このオケの演奏曲はベルリン・フィルの企画で、上海にも専用劇場を持ち、この週末の演奏会にちょうど本部の2名の楽団員が演奏に参加していたと―2010年から今に至るまでAKB48の忠実なファンとして、僕が土曜日の夕方上海地下鉄10号線に乗ってSNH48劇場へ向かう気持ちはだいたいそんなコンサートを聴きに行こうという気持ちに似ていた……軽蔑したければご自由に……

SNH48の上海劇場はとても変わった場所にある。嘉興路ハルピン路口、交通の便はいい、地下鉄4号線と10号線の海倫路駅、バスの四平路漂陽路から徒歩10分で着く。1933老場坊からも近い。調べてみるとこの劇場はもともと嘉興映画館と呼ばれたが、1990年台以降は映画館としては使われず、今年改装竣工して”SNH48星夢劇院”と改名された。場所が変わっているのは周囲の環境のせいだ、概ね以下の図のように:



えっと、実は上海人にとってこの環境はとても親しみがあるね~the very essential Hongkou(訳注:とっても基本的な虹口区の姿)~上海市の中心にまだこんな場所が残っているなんてなかなかない~でも公演が終わって出てきたら下着姿のおじさんがパジャマを羽織っているおじさんと道ばたでまとわりつき合ってる感じはやっぱりちょっと……

でも他の48グループの劇場の立地と比べると、ここは奇妙すぎる。AKB48を始めとして、48グループの劇場の立地は基本的に都市の中心部の繁華街で、だいたいショッピングセンター等の商業ビルといっしょになっている。古い居住区の中に開業したところなんてない……じっさい今はどんな劇場を開くとしてもこういう土地になるんだろうか?これは虹口区の音楽文化産業に対する支援政策なんだろうか?でも同じように古い映画館を改築するなら、上海市の中心にずっと改修されないままの浙江映画館がある、規模はほぼ同じ、建物はもっと上海の特色があり、場所も人民広場や福州路など若者が集まるところに近い。もしこれを改造してSNH48の劇院にすれば、48グループの慣習にもっと合っていないか?でも僕は知ってる、中国で公演を開くのにそんな理想を求めることはない、よく理解してる。

劇場は大きくない、公式サイトによれば340名の観衆を収容できるとあるが、下の開場前の写真を見ると、これ以上大きくはできない。もっと多くの観衆がくれば、周囲の道路は本当にぎちぎちになってしまう。

劇場の玄関ホールと待合ホールは非常に小さく、装飾も簡素、48グループの日本にあるそれぞれの劇場入口はどれも”Japan’s most sophisticated show”などあちこちに書かれているけど、そうなっていなくて少しがっかり。入口横にはカフェとグッズ売り場カウンター、外には日本ブランドの寿司店と美容院。

劇場内の装飾はやっぱり映画館のようで、観客席は傾斜して、椅子も映画館スタイル。舞台に近い部分は立ち見席で、舞台までひとまたぎくらいの距離。舞台は大きくなく、中間にせりがあって、両側には大きくないスクリーン。舞台の天井は劇場の標準とすれば低め、大量の照明設備とバトンが全部見えていた。

夜の公演は19:00開始、18:00から入場できる。公式サイトで購入したチケットはSMSとMMSで確認メッセージとしてスマホに送信される。入場後にSMSを劇場チケットと交換し、現場にも少量の当日券がある。チケット価格は安い、VIP席168元、普通席と立ち見席は80元、ただし席を選ぶことはせきないみたい?

上演曲はAKB48チームK 4th公演『最終ベルが鳴る』、中国語でのパフォーマンス、今のところSNH48劇場公演はすべてこのセットリスト。ただ最後の一曲は公演によって変わる。上演の流れは基本的に次のとおり:Overture-全員参加の曲-メンバーの自己紹介(MCと呼ぶ)-ユニット曲(小人数のメンバーによる曲)-もう一度MC-全員参加の曲-追加曲。

公演中は休憩なし、ただし追加曲の前にだいたい5分のブレイク、10月12日の公演全体の長さは約1時間50分、全17曲。当日の夜の見どころは2名の日本人メンバーの参加、宮澤佐江と鈴木まりや、中国人メンバーを加えて、合計15人が参加。

このセットリストについてはコメントする価値がある――48グループの劇場公演曲目はふつうのコンサートと違って、固定のセットリストで、シングルとして発売される曲と劇場でしか聞けないあまり有名でない曲が含まれる。中には基本的な新人の練習曲があり、新しくできたチームは基本的に最初は先輩が過去上演した曲目を上演し、これはきっと新しいメンバーに革命の伝統を教育するためだね~(訳注:筆者がここで「革命」という単語を使っているのは当たり前だが冗談)

同時に観客にも48系グループだということを知ってもらうため。最も典型的なのはA1公演『PARTYが始まるよ』、A2公演『会いたかった』、ひまわり組H1公演『僕の太陽』。ただしK4『最終ベルが鳴る』は以前どの新グループの練習向け公演になったこともなく、なぜSNH48がこのセットリストを選んだのかは分からない。

上述した定番の新人向け公演に比べると、K4の曲目はクオリティは出色だけど、本当にマイナーで、百合のセクシー曲『おしべとめしべと夜の蝶々』とチームKで涙を誘う定番曲の『支え』がある他は、チームKらしいスタイルのテンポの速い熱い曲が豊富だけど、A1 A2 H1公演の『桜の花びらたち』、『スカート、ひらり』、『会いたかった』、『夕陽を見ているか?』などトップクラスの神曲であり続けているような曲がない。新しく結成したグループにとっては、特に訴求力のある曲も売れる曲もない。でもこのセットリストはSNH48でいちばん注目を集めているメンバー、元AKB48チームKの中心メンバーの宮澤佐江には、とても合っている。

宮澤佐江について、言っておく必要があるのは、彼女が登場するともう、舞台上の中心は彼女になるってこと。AKBのトップクラスのメンバーは確実に他にはないものを持っていて、端正で、美しく、カッコ良く、パワーがあり、大きな存在感があり、完全に入り込んだ表情、きびきびと正確なダンスは、周囲の空気をピシっと張りつめさせる。中国語での歌は発音は正しくないけれど、音ははっきり識別できる。メンバーによるMCでも、彼女はあまりたくさん中国語を話せなかったけど、やっぱりうちとける力と生き生きした雰囲気、感情を伝える能力を発揮していた。AKBで彼女は決して僕がいちばん注目しているメンバー(いわゆる”推しメン”)ではないけれど、実物のパフォーマンスを見たらやっぱりimpressiveなので感動した。

他のメンバーについては、もう一人の日本人メンバー、鈴木まりやがAKBの中ではいつも無名な立ち位置だけど、上海では彼女の人気はほとんどの中国人メンバーを超えていて、パフォーマンス中のプロフェッショナルさと集中力は人目を引いた。中国人メンバーはといえば…実は僕はあまり覚えられなかった、でも全体としてAKBの日本本部と比べても基本的に問題ない。ちょっと写真について感想を書くと(とくにメンバーの中国ツイッター「新浪微博」の自分撮り写真)やっぱり信用できない……写真や映像では目立っていなかった何人かのメンバーが、逆にじっさいの公演では輝いていて目を奪われた。MCでお互いに舞台裏を暴露し合って自分をディスったりお互いディスり合ったりするのはやっぱりすごく面白かった、上海方言を話す何人かのメンバーは明らかに上海の地元に合っていて、今後上海方言の公演曲が出てこないかと期待させられた。でも彼女たちのダンスと歌は以前と比べても、また中国国内のタレントと比べても、すでに素晴らしいと言えるけれど、日本人メンバーが舞台に立つと、やっぱりその差は明らかという気がした……結成一周年、劇場定期公演も(日本のように毎日公演があるわけではないが)始まってまだ1か月少し、道はまだ長いね!

公演中とくに印象深かったのは-歌とダンスそのものよりさらに印象深かったと言うべきか-会場全体の観客が公演をとおして深く参加してたこと。観客層は、もちろん若い観客が中心だけれど、見たところ僕は絶対に最年長ではなかった……驚いたことに性別もほぼ男女均衡してたけど、これはきっとカッコいい宮澤佐江に大量の女性ファンがいるからだよね。劇場に座ってまわりをぐるっと見わたすと、ひと目で分かるのは:男性ファンはみんなオタクってこと~でも女性ファンはみんな萌っ娘!僕の左側に座ってた男性ファンたちは北京から来ていたらしい…右側の女性ファンはiPadに宮澤佐江のいろいろな画像を持ってた…僕の後ろの列には日本からの女性ファンが3人来ていて、当日の夜は香港、シンガポールからから来た観客もいたらしい。

日本のアイドルの公演は熱烈な観客が会場全体を組織して規律と内容のある関わり方をして、こういう観客はヲタと言われる。こういうコールや動作はヲタ芸と言う。12日の公演のOvertureが始まるとすぐ、スティックライトを振りながら、劇場の中はものすごいコールが渦まいた。でも面白いのは、こういうコールは基本的にまったく歌を聴くことに影響しないということ(僕の横の男子たちがときどき一緒になって歌っていたことを除いて…)、すべての曲はどういうふうにコールするか、いつコールするか、コールする内容までが高度に規範化されていて、しかも曲ぴったり合っている、しかも僕のように中国人メンバーのことをよく知らない観客にとっては、彼らがコールするメンバーのあだ名がかなり参考になった……

具体的にみんながどんなコールをしていたかは、僕の録音を参考にしてほしい……公園全体にわたってみんなのコールを聞いた僕の感想はだた”すごい……”

観客について、公演が終わったあと起こったことに僕はびっくりした。見たところ観客がすすんで他の観客にゴミは持ち帰るように注意して、他の客席のゴミをすすんで拾って帰る人までいたこと……これは本当に前代未聞で、感動したよ……

(訳注:じつは劇場公演が始まった直後は、中国2ちゃんねる(百度貼吧)のSNH48掲示板で、ゴミを持ち帰らないファンが話題になっていた。その後、一期生のSAVOKI(趙嘉敏 Zhào Jiā Mǐn チャオ・チャーミン あだ名: SAVOKI SNH48 Team SII
 SNH48 1期生
 1998/07/22広東省深セン市生まれ
)、タコちゃん(張語格 Zhāng Yǔ Gé チャン・ユーグー あだ名: タコちゃん SNH48 Team SII
 SNH48 1期生
 1996/05/11ハルピン市生まれ
)が、公演後の劇場でゴミ拾いをする動画がアップされたり、ファンどうしが注意し合ったりして、かなり改善されたらしい。筆者個人もあまりこういう書き方をしたくないが、現地のSNH48ファンは中国人として「前代未聞」のマナーの良さらしい。最近では劇場で落とした財布が、翌日にちゃんと戻ってきたということもSNH48掲示板で話題になっていた)

公演が終わった後、参加したメンバーが劇場出口に列を作って観客とお別れのハイタッチをするのだが、このとき観客はメンバーと短い交流ができる。劇場の裏口には人だかりができていて、どうやら預けていた荷物を取りに行くためらしい?でも僕は入場のときリュックを背負ったまま堂々と入っちゃった……聞くところでは荷物をあずけるのに5元いるとか?これはとり過ぎ。

公演そのものについていくつか改善が必要とおもったところ:

舞台両側のスクリーンは使用不足、公演中この2つのスクリーンはほとんどの時間ただPCの音楽プレーヤーソフトのビジュアリゼーション効果みたいな画面が流れてるだけ。歌詞を表示できないのは分かるが(『おしべとめしべと夜の蝶々』のような歌詞を表示するのはあまり良くないのは分かる)、曲が始まるごとに曲名を出すとか、『16人姉妹の歌』で各メンバーの特徴を言うとき画面にそのメンバーを出すとか、こういうことはできると思う。音響全般について、劇場が小さくて僕の席がスピーカーに近かったからかもしれないけど、音量が僕にとってはちょっと耐えられないほど大きくて、公演が終わった後、ちょっと耳が痛くなった。

公演についての紹介はここまでで終わりとして、その他の感想もたくさんある:

こういうのはきっと中国に初めて現れた公演の形式だよね、コンサートでもなく、ライブハウスでもなく、ダンスホールでもない。同じグループが同じ曲目を何度も上演してなお入場率をどうやって保証できるか?これ(訳注:AKB48劇場の方式)は一つの解決方法だけど、他の同様の領域にも拡張できるだろうか?エンタメビジネスに従事するものとして、この問題が僕の頭に浮かんだ……

AKB48は日本での成功例の一つで、日本のポップスレコード会社をほぼ復活させたと言える、姉妹グループといっしょに前代未聞のCD販売神話をつくり、嵐やEXILEとともに韓流が日本に侵入する最前線に立ち上がった…(違う)でも中国では、売上げ統計をとれるようなCD市場そのものがすでに存在しないと言っていいが、SNH48はこの状況を変えるつもりだろうか?SNH48公式サイトでは彼女たちの歌う中国語版のAKB曲を有料でダウンロードできるが、どれくらい売れているのか全く知らない。それに比べて、たしか京東(訳注:中国のネットショップサイト)には渡辺麻友のシングルの正規版がすべて無料でダウンロードできたような……(訳注:今はできなくなっている)でももしCD販売量の神話がなく、それによる大量の付加価値(知名度の上昇による各種利益、各種タイアップ、コンサート参加等)がないとしたら、AKB48やその他姉妹グループの成功をどうやって中国に移植できるか想像するのは難しい。誰かの分析に、48グループの成功は日本社会全体の消費水準が歴史上未曽有の低調さだった時期にサブカルチャー層の購買力グループを開拓するのに成功し、ニッチ市場の神話を創造したとあった。でもその中には必然的にサブカルチャー層が拡大し国民全体に広まる過程が含まれていたわけだ。中国には、もちろんこのようなサブカルチャー層の規模も、アイドル文化が国民的になる可能性も、日本よりきっと小さい。

AKB48の成功の過程で印象深い点は、自らすすんでマイナーで内輪うけでさえあるところにずっとこだわり続けた点だ。結成から今にいたるまで8年間の小劇場での公演や、その中で積み重ねてきた千曲に近い楽曲、数年来無数の人を引きつけてきた深夜のバラエティー番組AKBINGOも含めて、その点が多くの人がAKB48を好きになって応援する原因だった。こうして黙々とがんばり続けるということが、今日の中国で、とくに芸能界ではほとんど見られないが、SNH48が自分たちなりの方法でこの点を実践できるかわからない。結局のところ中国では一夜にしてブレイクするのはとても簡単で、小劇場で努力して公演してその他にも苦労して練習を重ねることに比べると、この中国社会には誘惑が多すぎる。去年SNH48のお披露目公演の時の24人は、現在もう1/3が退団しているが、残っているメンバーたちの頑張りを信じて、期待をもってフォローしたい。

SNH48が期待に負けることなく、喜びと驚きをもたらしてくれたことをお祝いする。
宮澤佐江、鈴木まりやに感謝、そして苦労してパフォーマンスしたメンバーたちにも感謝し、前途を祝いたい。」

このレポート書かれた方の録音の音質が予想外に良かったので、やはりリンクを貼っておく。

『支え』現場録音

『RIVER』現場録音